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明治9年(1876年)、樋口家は当山の東隣に越してきました。現在は境内地手前の駐車場になっている場所に「桜木の宿」はありました。木造倉庫がついていた45坪もあった家でした。この時は、姉のふじも最初の嫁ぎ先から戻ってきており、両親、二人の兄、そして妹と、家族全員がそろっていて、父親の則義の事業も順調で、経済的にも家庭的にも最も恵まれていた時代だったのです。
そんな中、一葉は、倉庫で本を読みふけったり、2階の窓から境内の桜を眺めたりしていたのです。「腰衣の観音さま、濡れ仏にておはします御肩のあたり、膝のあたり、はらはらと花散りこぼれて、前に供へし樒の枝につもれるもをかしく」と、当時の法真寺の情景を「ゆく雲」の中で書いています。
24歳という若さで逝った一葉が、ここで唯一幸せに暮らしていたのです。
そんな一葉のご供養のため、法真寺二十一世顕譽浩永和尚(平成17年5月30日に往生の素懐を遂げる)が、地元の町会の人々と昭和55年に「文京一葉会」を発足し、毎年11月23日に「一葉忌」を厳修し、現在に到っています。一葉忌は毎年、幸田弘子先生の朗読と、その年の講師の先生がお話をくださいます。